どんぐり君とおにぎり君のママの読書日記

アラフォー、2男の母のブックレビューです。読んだ本の簡単な内容・あらすじ・感想をメモしてます。

椰月美智子さんの「明日の食卓」を読みました。~子育てのリアルに共感し、虐待はどの家庭でも起こり得ると感じる作品。ラストにドキっとさせられます。

 
椰月美智子さんの「明日の食卓」を読みました。
明日の食卓 (角川文庫)

明日の食卓 (角川文庫)

 

内容・あらすじ

静岡在住、専業主婦の石橋あすみ。神奈川在住、フリーライターの石橋留美子。大阪在住、シングルマザーの石橋加奈。小学3年生の「石橋ユウ」を育てるそれぞれの母親たちは、慎ましくも幸せな家庭を築いていたが、些細なことをきっかけに、その生活は崩れ始める。そんなある日、「イシバシユウ」虐待死のニュースが報道され―。ユウを殺したのは、私ですか?どこにでもある家庭の光と闇を描く衝撃作。(Amazon内容紹介より)

感想

3者3様の男の子のいる家庭の母が主人公の物語

本書は、愛すべき子ども、同姓同名の「石橋ユウ」という男の子を持つ3人のお母さんの物語。
各家庭にかわるがわるにスポットが当てられ、日常の光と闇が描かれています。
1人目の母、あすみは専業主婦。
かわいいとばかり思っていた息子が、実は心に闇を抱えていたことを知ります。
2人目の留美子はフリーライター。
留美子の家庭は2人の男の子がいます。
元気の盛りの2人が、スーパーで騒ぐシーンがリアル。
男の子兄弟が2人で騒いでいる時のパワーの、絶望的な制御不能感に心から共感します。
3人目の加奈はシングルマザー。
苦しい家計を支えながら、できた息子を育てています。
加奈の「ユウ」くんは、本当にこんな男の子がいるのだろうかというぐらい落ち着きのある、思いやりのある男の子。
加奈のパートだけは、安心して読めます。
家庭環境は様々だけど、3人のお母さんの等身大な感じに、それぞれ共感しました。

虐待はどの家庭でも起こり得る

子育てをしていると、子供がかわいくてたまなくなる瞬間があります。
一方で、イヤイヤ期のこどもに、宿題をやらない小学生に、何度いさめても兄弟喧嘩をする兄弟に、イライラする瞬間があるのも事実。
また、子育てに100%の安全はありません。
少し目を離した隙に子供が事故にあう確率もゼロではなく、例えば、親の監督不行き届きや、虐待を疑われることだって十分にあるもの。
虐待は遠くの家庭で起こることではなく、普通の家庭で起こり得る。
もしかしたら虐待で訴えられるのは明日の自分かもしれない。
その可能性を痛感させられます。

子育ての重荷を負う母たち

虐待はどの家庭でも起こり得ると感じるほどに、子供を育てることは大変です。
そして、シングルマザーである加奈はおいておいて、家庭には父親もいるはずなのですが、本書の主人公の母たちは、その子育ての責務を一身に負っています。
上野千鶴子さんのあとがきにもありますが、あすみの家庭の、留美子の家庭の、父親の役立たず感たるや。
この父親の育児に対する責任感の希薄さが、母親のイライラを増幅させ、徒労感を倍増させている感じが何とも言えません。
シングルマザー加奈は、収入が不安定で乏しかったり、子どもを1人にせざるを得ない状況が多発したり、父親がいないことによる苦労を背負ってはいますが、
逆に、父親によるストレスがない分、問題点が明快で爽快にも見えます。
日本の子育てのリアルを描き、問題を提起する作品。
ラストは騙されました。
ドキッとさせられひっくり返されます。

おすすめ度★★★★

リアルな描写に共感。
(3つの環境の異なる家庭の日常が描かれていて、一番近い家庭の母に最も共感しやすい)
日本の子育ては、母に重圧がかかり過ぎなのではないかと憂える作品。

 

明日の食卓 (角川文庫)

明日の食卓 (角川文庫)