坂木 司さんの「アンと青春 和菓子のアン 」を読みました。
概要・あらすじ(Amazon内容紹介より)
アンちゃんがデパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働き始めて8ヶ月。販売の仕事には慣れてきたけど、和菓子についてはまだまだ知らないことばかりだ。でも、だからこそ学べることもたくさんある。みつ屋の個性的な仲間に囲まれながら、つまずいたり悩んだりの成長の日々は続きます。今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。待ちに待ったシリーズ第2弾!
内容のメモと一言感想
印象に残った言葉
すると柏木さんは、ゆっくりとうなずいた。 「そうですね。自分も、働いていると安心します。何かをしている、って思えるのかな」 その言葉に、ちょっとびっくりする。資格があって、ちゃんと就職した人でもそう思うなんて。 「安心――」 手を動かしていれば安心。誰かのために働いていれば安心。お金を稼いでいれば安心。それはぜんぶ本当で、悪いことじゃない。でも。
アンは、高卒のアルバイト。
明確な将来像を持っている人に出会うと、果たして自分はこれでよいのかと、悩みます。
働いていることが、自分の将来や、自分の生きる意味を突き詰めて考えないことの免罪符になるように思えるところ、共感しつつ、一歩立ち止まって考える時間を設けなければと、考えさせられます。
お母さんの心配
わが子に放射能のリスクのある食材を与えたくない。そう強く思いつつも、それをあからさまに口に出すことはできなくて、子どもを守ることと、社会の目とのバランスに苦慮するお母さんのもやもや。
「甘いお荷物」には、現代社会に生きる母親の葛藤が、鮮やかに描かれています。
情報過多の現代、世には様々なリスクがあるという情報があふれ、親がこどものためにできることは、無限にあります。
そのなかから、何をやって何をやらないのか。
やろうと思えばこどものためにできることは無限にある中、どこで妥協するのか。
選択肢が多い中の子育ての苦労は現代ならでは。
好きなところ
アンちゃんがかわいい。
みつ屋の面々、読めば読むほど好きになります。
立花さんとアンがどうなっていくのか、気になるところ。
おすすめ度 ★★★★
平和ミステリー&現代社会に生きるものならではのなやみが上手に描かれ、楽しくも味わい深い作品。